
3Dプリンタ用の加工データを作成するソフト「Axon」についていろいろ調べてみました。
代理店の説明では
「最新のAxon3はまだアルファ版+いろいろバグがあるのでAxon2を使って下さい」
という事で、国内で購入した場合に製品に付属してくるのもバージョン2の方のソフトでした。
さて、ホントにバージョン3は使えないのか?(疑い深いw)
せっかくなので確認する為、両方のソフトをパソコンに入れて比較してみたいと思います。
まずは「Axon2」を起動して、試し打ちの際に使用した「かわロボ君」のデータを読み込みます。
読み込んだら、ひとまず何も考えずに「Build」のボタンを押します。
実際は、読み込んだファイルの向きを変えたり、サイズを変更したりといったメニューが並んでいますので、これらを利用して、希望に適した出力状態を作り出すことが出来ます。

データ作成の詳細設定がでるので、今回は比較のため「ピッチ 0.25mm」を選択する以外は特にいじらずデータ作成を行います。
しばらくデータ作成中の画面が表示された後、読み込んだデータの出力イメージと左側のマテリアル使用量等のデータが出力されます。

・・・正直「なんじゃこりゃ」な状態になります。
画面左側の「Build File」の情報を見ると
「Mass」マテリアルの使用している総量?は106.85g、
マテリアルコスト?が4.81、
出力時間が12:20(単位は時間、つまり約12時間半)
ここで重要ポイント。
後でもう一回説明しますが、自動生成されたサポート形状は「点」ではなく「線」でパーツと接触する様に造形されます。
これがあとで大きく効いてきます。
ひとまずバージョン2での様子は見たので、次にAxon3の方を見てみます。

ソフトを起動して、同じSTLファイルを読み込みます。
「Build」ボタンを押すとでータ作成用のプロパティが開きますが、バージョン2とはだいぶ異なります。

アルファ版だからなのかもしれませんが、
出力データの細かい設定が出来なくなっています。
サポートの接触の仕方が「点」か「線」か選べるようになっているのは大きな改良点ですが、内部の肉抜き率や中空部分のパターンの選択等が出来なくなってます。
正直この制限は痛い。
でもまあ、この条件で出力を選ぶと、バージョン2同様に加工データが作成されます。

画面の見やすさはさすがボージョン3、といったところでしょうか。
非常に見づらいですが、サポートの自動生成部分も点で接触するように作られています。
バージョン2同様に画面左側の「Build File」の情報を見ると
「Mass」マテリアルの使用総量?は39.31g、
マテリアルコスト?が1.77、
出力時間が約5時間半
となりました。
マテリアルコストは数値から計算すると1kgあたり約45、どうやら米国国内での流通価格(ドル)を計算している様です。
このあたり、設定画面で現地通貨でのkgあたりのコストとか入力できる様になってるとなにかと便利なのですが。

設定をほぼいじらず=同じ条件(のはず)に作成したデータの情報を両バージョンで比較してみます。
同じ物体を造形しているはずなのに使用するマテリアルの量が倍以上違う??という謎現象が。
実は先日バージョン3での造形をした時の結果から、Axon3での計算結果はサポート材の生成分がカウントされていない可能性が非常に高いです。
現にこの設定で出力したかわロボ君が、
サポート材がついた状態:49g
サポート除去+ペーパーかけ後の状態:37g
になってましたからほぼアタリかと。
また、造形時間がおよそ5時間半と表示されましたが、実際に出力して測定したところ「およそ7時間半」を要しました。
おそらくこれもサポート材造形分の時間が含まれていない為だろうと予測されます。
このあたりの誤差については連休明けにでもまた代理店に聞いてみたいと思います。

ちなみに、Axon3で造形ピッチを倍、0.125mmにしてデータ出力してみると、次の様な結果になりました。

出力時間は倍かかるんだろうなと予想していましたが実際そんなことはなく、使用するマテリアル量も分解能が上がった分の上昇量だろうと思われます。
造形時間については先の実測との差を確認していないのでまだ何とも言えませんが、造形テストが終わり次第確信します。
実測10時間位になったら、ほぼ間違いなくAxon3はサポート生成分をマテリアル計算に入れていない事になりそうです。
今のところの感触としては
「Axon2」
本体とサポート材が別の素材で造形出来る=ダブルヘッド仕様向け
PLA分解用にアルカリ溶液での超音波洗浄器とかあるとすごく便利です。
※ 同一マテリアルで出力後にデザインナイフとかで切り離そうとすると、刃が折れる前に心が折れますww
「Axon3」
シングルヘッドで造形後の処理作業を苦に思わない人向け
ダブルヘッド仕様機だったらもっと便利ですが。
※ 同一マテリアルで出力しても、ニッパー+デザインナイフでどうにか切り出せます。ガレージキット経験者ならほぼ悩まず処理できるかと思います。
といった感じでしょうか。
最後に

教え子が設計しているかわロボのデータがすべて3DCADだったので1/2サイズにして読み込んでみました。
バージョン2だとデータ作成は可能ですが、造形されるサポート材が複雑すぎて後処理で分離不可の為造形断念。
バージョン3だと原因不明のエラーによりデータ作成不可。
となりました。
低負荷のABSパーツなら、3Dプリントしたものも使えるんじゃない?といった気になってきます。